バイオリズム
七月某日 夕刻 曇り
昼寝から目覚めてみると、辺りは曖昧な色合いに変わっていた。
つい先ほど、古い友達と楽しい約束を交わしたばかり。
自分でそう思い込んだが、どうやら、それは夢だったようだ。
古い友達。
私たちは相思相愛だったにも関わらず、とうとう結ばれることはなかった。
そして、今生では、もう会うこともないかもしれない。
それは決定的な別れを迎えたからではなく、会いたい、会ってみたいということ以外に、
会う理由が見当たらないからだ。
私たちは「会う理由」なしには、会うことはない。
お互いに別の相手をみつけたから、というのは、いかにも陳腐で厭だ。
私たちの歩いている道が、あまりにもかけ離れてしまったこと。
それを、お互いによくわかっている、という方がピンとくる。
バイオリズム、という言葉の意味がやっと分かった気がする。
私は、迫ってくる夜気と潮の匂いを嗅ぎながら、勇者のように台所に立った。
最近まっすぐに帰宅するようになった夫のために、腕を振るうのだ。
※フィクションです(笑)
また雑文を書いてみました。
lukaさんの世界好きです。
(いきなり告白っぽくてギョっとしたらごめんなさい^^;)
【懐かしいから会おうよ】と言えない人に逢いたい時に感じる、胸の奥がきゅっと掴まれる感覚になりました。この文章も、【Kの余韻】も。
どうもありがとう。