リズム
某年9月
わたしは彼と待ち合わせて、新宿の副都心へ出向いた。
仕事の定まらない二人に、このようなところに用事があるはずもなく、
ただただ、ブラブラと歩くために訪れたのだ。
わたしはカメラを持っていって、高層ビルを何枚も撮った。
彼は、ひたすら上を向いて歩いていた。
私は、安田火災ビルの曲線が好きだ と彼に言った。
夜、上空に、小さな赤い灯が点り、ぽつ、ぽつ、と点滅し始める。
彼は、このリズムが好きだ と私に言った。
ふたりは植え込みに腰掛けて、モーヴに暮れゆく空を眺めていた。
やがて、すっかり夜の帳が下りてしまうと、そのまま仰向けに倒れ、
星のない夜空をそのまま眺め続けた。
まだライトは脈動している。
彼の首筋が同じように脈を打っているのを、そっと盗み見た。
夜の高層ビル街で仰向けになっていても、誰が通るわけではない。
すべてが静謐だった。
ふと触れたグレーのタイルが、もう秋の温度だった。
by using PENTAX K100D
※このテキストは、フィクションです。
写真と文章を読んで、なぜか、昔の西新宿を
回想してしましました。
都庁が移転する前のポツポツと空き地のある
高層ビル街が好きでした。(いつの話だ!)
世界堂で画材を買った帰りとか、友だちや
彼女とよくあの辺を意味も無く徘徊しました。
空き地を見下ろす歩道の端で、足を投げ出して
並んで座って、いつまでも話をしたり・・・
懐かしいです。。
※通風口の写真いいですね。動いてる車との
対比で、そこだけが時間が止まってるような
感じがします。