手鞠
雨も一通り降って、もうすぐ夏祭り。
見物客らしい見物客のない、地元の親と子供たちだけが出入りするような、こぶりな祭りだ。
手鞠のような雪洞(ぼんぼり)がぶら下がっているのを見ていたら、懐かしさで、視界がじんわりと曇った。
年齢的なものもあるのだろうが、私は地域活動に熱心な方ではなかった。
そんな子供時代に、出来心で来てみたここの祭りは、大そうしょんぼりとしたわびしいもので、
結局それから十数年もご無沙汰してしまった。
しかし、久しぶりに覗いてみて、人の入りと、その明るさに驚いた。
浴衣を着た子供たちが、道路まであふれていた。
あの頃、わびしいなりにこの祭りを継承した大人たちがいたからこそ、今の華やぎが得られる。
だめなときに止めなかった、というのは、それだけで素晴らしいことだと思う。
明るい白熱球の光を浴びながら、夜の木々は、やさしくざわめいていた。
Smena8Mを買ったばかりの頃に撮った写真です。