ささくれ

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私がこの鳥小屋へ入ってみると、そこには少女がふたりいた。

少女たちは、口々に「おはよう」だの「See you」だのをこのインコ、大きなインコに浴びせていた。
しかし、「おはよう」は、「ああ」と返ってきたし、そのほかの挨拶もすべて「おお」とか「ああ」と不器用に発音されていた。

私は、この大きさと色彩だけが取り得のような鳥が、口真似をするとは知らなかったので、
「これはしゃべるの?」と訊ねた。
すると、少女たちが「そうだよ」と、得意げに胸を張り、ますます勢いづいて発音を続けた。
そして、この大きな鳥は、「…っかぁぁぁっ!!!!」と大声をあげ、そこにいた私たちをぎょっとさせた。

ひとりの少女は泣きながら、この小部屋を飛び出していった。

 
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