A call from distance <Kの余韻>
見頃を過ぎた薔薇も、まだまだ蕾をつけている。
日が長くなった。
南西に傾いても、まだ遠い日の光。
私たちはもう先へ進めないことが分かった、冬も半ばの頃。
Kは突然、沖縄へ行ってしまった。
泊まるところも決めず、所持金もほんの少しで、現地でアルバイトでもしながら…という、若者らしい旅だ。
いつ戻るかわからないから と、Kが静かに言ったとき、
私は自分を避けるためにわざわざ沖縄まででかけるのか と、かなしくなった。
それでも、何日かに一遍、公衆電話から電話がかかってきた。
公衆電話から携帯電話へのコール。電話料金はばかにならなかったと思う。
金額で相手の気持ちを読むわけではないが、
避けたい相手に、義理や義務感でこうして電話をしてくるはずはない。
そう思えた。
いや、今だからそう思えるだけで、当時はどう考えていたか、実はあまり覚えていない。
いずれにしても、それ以前の無様なやりとりにすっかり自信を失っていた私は、
この沖縄からの電話に、喜びながらも歯切れ悪く応えていた。
使用カメラ;PENTAX MZ-5
昨日のもそうですが、一眼レフなのになんだかトイカメラみたいな写りで…(笑)
写真は機材じゃないなあ。
でも、撮ってるときの安心感は抜群ですが。