青いカフェオレボウル <Kの余韻>
Kの話を続けよう。
Kと私は、青 が好きだった。
Kは、青が好き という以上に、青そのものの人であったように思う。
美しく、気高く、深く、寡黙で、ときには潔く裏切る。
青という色の印象は、いつもKの印象そのままだった。
青は元来、生物から最も縁遠く、希少性のある色だった。
化学染料や、藍の発見の以前、ブルーを発色する天然物といえば、ラピスラズリくらいだったといわれる。
にもかかわらず、胎児が体内で最初に認知する色は、ブルーだそうだ。
青色のモノが見えているわけではなく、青い色を脳が見ているらしい。(たぶん)
だから、青は人類共通の憧れの色であり、
かなしいくらいに共通点を持たない私とKとを、一瞬ではあったが、結びつけてくれた色なのだろう。
知らず知らずのうちに、集まってきてしまった青いカフェオレボウルたち。
青はまだ、私の憧れの色。
使用カメラ;PENTAX MZ-5